2021.06.01

東京都庭園美術館「艶めくアール・デコの色彩」展/宣伝広報物デザイン

東京都庭園美術館にて2021年4月24日(土)から6月13日(日)まで開催されている
建物公開2021「艶めくアール・デコの色彩」展の宣伝広報に関わる印刷物および看板類、
会場で無料配布されるハンドアウト、案内状などをデザインしました。

開催初日の翌日から緊急事態宣言の影響で休館していましたが、
6月1日(火)より日時指定の事前予約制で再開されました。

新緑が眩しい初夏の季節にぜひ訪れていただきたい展覧会です。
というのも、東京都庭園美術館は、東京随一の自然環境に恵まれた美術館。
もともと、旧朝香宮邸であった美術館ならではの
隅々まで意匠が施された建築(内装)が素晴らしいのは言わずもがな、
手入れが行き届いた緑豊かな美しい庭園に癒されます。

長らく続くコロナ禍により鬱屈とした日々を送っている方は、
庭園の芝生に座り寝転び、空を見上げてみてください。
きっと、少しでも気分が晴れるはず。
無料で入れる公園と異なり人も少ないため、屋外で密になる心配もありません。

ちなみに、建物公開展のみ本館(旧朝香宮邸)内の写真撮影が可能です。
詳細は美術館のウェブサイトをご確認の上、係員の指示に従ってください。

興味をもっていただけた方、行かれる予定のある方は、
早めの予約をおすすめします。

デザインの話に戻り、冒頭の画像はB2ポスター。
メインビジュアルとなった美術館内観の空間写真と呼応するデザインです。

展覧会の主題である「色彩」を際立たせるため、写真の背景に4分割の色面を大胆に配しました。
一般的に、展覧会の宣伝広報物に用いられる差し色は1色か2色。
なぜなら、作品の邪魔になる配色になってはいけないという当たり前の大前提があるため、
リスクを負わず、無難にまとめるためにも色数を抑えた方が安心だから。
ですので、写真の縁取りと4分割の背景を合わせ、
5色もの鮮やかな差し色を配した展覧会の宣伝広報物は珍しいのではないでしょうか。

A4チラシ裏面は、情報の区切りに文字の色分けを行い、更に多色を使用しました。
美術館に行かれる際は、ぜひお手にとって見ていただけると幸いです。

各種ポスターとA4チラシ表面には特色インクを使用し、
黒文字の濃度と刷り方を部分的に変える工夫など印刷もこだわっています。

デザインのこだわりをもうひとつ紹介すると、
展覧会を象徴する空間写真に導かれ、左右対称の構成を強調しているにも関わらず、
青背景の余白のみ文字要素を入れていません。
右下の角に抑えを入れると全体がまとまりすぎて、つまらないデザインになってしまうと判断し、
あえて、バランスを崩し遊びをつくりました。

それから、展覧会のタイトルロゴを凝り過ぎて文字が読み辛くなるという
告知物のデザインとして本末転倒にならないよう文字の可読性にも配慮しました。

セントラルパークのポートフォリオサイトに、
「タイポグラフィ、色彩設計、空間構成を中心とした潔く美しいデザインを得意としています。」
と自己紹介しています。
今回のデザインは、自己評価しているとおりのデザインになったと自負しています。

色彩感覚に自信がなかったら、多色を用いたデザイン提案はできませんし、
そもそも、配色がよくなければ採用もされません。

優れた色彩設計を期待されての依頼だと思いましたので、
華やかな印象を与えられるよう積極的な色使いを心がけてデザインしました。
結果として、一番おすすめの案をそのまま採用していただきましたが、
ほかに提出した別案も多色使いによる色鮮やかなデザインでした。

関係者など限られた人のみに送られる案内状を含め、
我ながら、とても気に入っている自信作です。

宣伝広報活動において、デザインの評判がいいという嬉しい報告も受けており、
細部まで神経を注いだ甲斐がありました。

上の画像は美術館入口横の看板。ポスターのイメージを踏襲し展開しました。
今の季節、時間帯によっては綺麗な木漏れ日が降り注ぎ、写真映えすると思います。

過去に「キスリング」展のデザインを担当させていただき、東京都庭園美術館の仕事は二度目。
今回、はじめましての学芸員さんからご指名をいただきました。
再び、デザインのご依頼をいただけた理由は、前回の仕事を評価されたからこそだと思いますので、
本当にありがたく光栄なことですし、制作の励みになります。

早速、再開初日に行ってきました。
作品解説や研究報告を読みながら巡る鑑賞は興味深かったです。
何度も足を運んだことのある美術館ですが、
通常の展覧会では作品に目が奪われ見逃していた部分も多く、
内装をじっくり見るよい機会となりました。

芸術に触れる文化的な時間を久しぶりに過ごし、
感覚を刺激する豊かな時間の必要性を改めて感じました。

事前予約制で人数制限はありますが、
一人でも多くの方に鑑賞していただけると嬉しく思います。

緊急事態宣言が再延長され、休館したまま会期終了することも覚悟していました。
担当学芸員さんをはじめとする美術館および関係者の皆様、
そして、展示のデザインや施工に携わった方々のご尽力を思うと、
残す会期が短く2週間になったとはいえ、再開されて本当によかったです。

会期中に行けない方、行くかどうか迷っている方、
遠方にお住まいで行くのが難しい方、この文章を読んだ時点で会期が終了している方は、
美術館が制作した展覧会の紹介動画をぜひご覧ください。
建物の魅力が映像からも存分に伝わるはずです。
(紹介動画のリンクから東京都庭園美術館の公式Youtubeチャンネルに移動します)

ほとんど更新していない当サイトですが、
急に思い立ち、熱のこもった文章を書いてみました。

2021.01.08

新年の挨拶 2021

2021年もよろしくお願いします。

冒頭の写真は、仕事場にて自然光で撮影したピンクのダリア。
新年を迎え、明るく前向きな気持ちになる美しい花の写真をお届け。

入手困難で希少価値の高いオールドレンズ「HASSELBLAD Carl Zeiss T* Planar 110mm F2 F」で撮影しています。
個性が強く万能ではないけれど、唯一無二の描写(独特のボケ表現)を得られる特別なレンズにして大好きなレンズ。

僕自身、いつも花を飾っているわけではありませんが、
花を飾ると空間が華やぎ豊かな気持ちになるため本当におすすめですよ。

そして、花屋で花を選ぶ行為は、美意識を鍛えるのに役立つと考えています。
(花を買う時は、その時の気分とは別に、写真の被写体としての見映えも考慮し、種類・色・個体差を吟味します)

みんなそれぞれいろいろあると思いますが(2020年は大変な年でしたね)、
眩く瑞々しい生命を感じる花の写真を見て、少しでも気分が上向いたら嬉しいです。

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さて、2020年も新年の挨拶以降まったく更新しなかったNEWSページ(特に反省もしていません)。

10年間に渡りアートディレクターを務め、誌面全体のデザインも担当している
旅の雑誌『PAPERSKY』がフルリニューアルしたので(タイトルロゴも刷新)、
さすがに紹介したいなと思っています。

長く続けていたため、新陳代謝を図る意味でも、
デザインチームを一新するまたとない機会であったにも関わらず、
引き続き任せていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

独立以来、もっとも長く続いている仕事の依頼主が、
直接の依頼主で唯一の外国人・ルーカスさんであるというのも不思議です。
これからもよき関係が続きますように。

思い入れも強い仕事ですし、デザインのリニューアルについて考えたこと・実行したことを
詳細に書きはじめると時間がかかりそうなので、また改めていつの日か。

僕は関与していませんが、ウェブサイトもリニューアルしたのでぜひご覧ください。

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幸せなことに新年早々好きな仕事をさせていただいています。
指名でご依頼いただけることは本当にありがたく光栄なことです。

デザイン・撮影のご依頼・ご相談は、お気軽にお問い合わせください。
面識ない方が勇気を出して依頼してくださると喜びます。
ご無沙汰している方との久しぶりの再会も大歓迎です。
2021年、たくさんの方と仕事をご一緒できると嬉しいです。
ご連絡を心よりお待ちしています。

今年の目標も変わらず、デザインと写真をとおして喜んでもらうこと。
デザインの仕事をはじめて早20年、今もずっと楽しいです。

尽力が報われる幸せな瞬間をいっぱい迎えるため、
幅広い分野で多くの人のお役に立ちたいと思います。

誠実に丁寧に。そして迅速に。
皆様のご期待に応えられるよう最善を尽くします。

そして、なにはともあれ、健康第一。
体調管理と体型維持は、僕が強く心がけていること。生活の基本です。

2020年は予想だにしない不可抗力の感染症により世界中が混迷を極めた1年でした。
みなさんもどうぞお身体ご自愛ください。

2021年はこれまで大切に育ててきたあれこれが実を結ぶ予感。
新たにはじめた撮影の仕事も本格化させたいです。

写真家としての活動もするきっかけとなった自主制作のウェブメディア「少女記録」の運営も続けています。
もうすぐサイト公開5周年。個人の時間のすべてを捧げてきたと言っても過言ではありません。
現在はすべての作品撮影を自ら行っています。
今後の展開にご期待ください。僕自身も楽しみです。

以上、2021年の新年の挨拶でした。

この文章を読んでくれたあなたにとっても最高の一年になりますように。

追伸(この場を借りたお礼):
年賀状を送ってくださったみなさん、ありがとうございます。
年賀状を送るのをやめてからというもの、年々送られてくる枚数が減っていきますが、
変わらず自分を気にかけてくださるお便りは励みになります。
僕はおかげさまでいつも元気です。